2019年9月にリニューアルした、新生ホテルオークラの象徴とも思えるヌーヴェル・エポックに行ってきたので早速ご紹介したいと思います。
ホテルオークラ建て替えの時に昔からあった主要レストランはそのままの名前・コンセプトでリニューアルオープンしています。
「山里」「スターライト」「さざんか」「桃花林」
その中で、「ラ・ベル・エポック」のみが「ヌーベルエポック」へと名前を変えています。
「ラ・ベル・エポック(古き良き時代)」から「ヌーベル・エポック(新しき時代)」と真逆の意味とも思える変更で、実際、店内のコンセプトもガラリと変わっています。
グランメゾンであってオークラの中でも一番特別と思うレストランを根本から変えてきたわけですね。
いや、特別なレストランだからこそメッセージ性を持っていて、変えられたのかもしれません。
さざんか、桃花林、山里にはレストランとしてメッセージ性は無いように感じます。スターライトを変えてもしょうがないでしょう。経営的にも客層的にも変えるとしたらエポックだったというのは、改めて考えると必然だったのかもしれません。
全てが変わったと言って過言ではないですが、特に変わったなぁと思うことを列挙すると
・店員さんが燕尾服から明るいスーツへ
・食器を含む店内デザインが、アールデコ調から白(と金)を基調とした和モダンへ
・アラカルトを全廃し、コースメニューのみへ
・食後の小菓子はワゴン廃止でお皿で提供するのみへ
その他、最上階から地上階へ、バターたっぷりの重厚フレンチからヘルシー路線、和の食材を活用 etc..
ただ、逆に変わっていないのは、店員さんであって、サービスであって、オークラであること。
変わって寂しいなと思いつつも、前よりもシェフがイキイキと料理を考えて作っているように感じて、個人的には楽しいお店になったなと思います。
ただ、結婚式場として利用できなくなってしまったのは寂しいですね。
動画版もあります
~風冴える冬の空~ ランチAコース
料理が運ばれて印象的なのは食器です。
すごい綺麗。美しい。
これは、旧エポックでは感じたことがないことです。
アペタイザー / 秋ジャケのリエット
ノルウェー産サーモンの一口アミューズ。

始まりのお愉しみ / イカ、ウスバハギのマリネ
前にもきていますが、始まりのお愉しみはこのスプーンスタイルでした。
ウスバハギは調べてみるとこんな魚のかっって感じなのですが、酸っぱめですごく美味しいです。
奥のイカの方は、食べてみるとイクラのように細かく切ってあって、不思議な食感。
イカの上にはデュカスパイスが乗っていて、スパイシーな仕上がりです。

石川県産甘海老のマリネに佐賀県太良町の和柑橘の香りをうつして
甘エビに、黄色く見えるのがみかん、赤く見えるムースがいちごのリキュールというフルーティーな一品。
苺とミカンで冬をイメージしているのでしょうか。


パン(バケット・中島菜のパン)
緑はこまつな?と思ったら中島菜とのこと。
ただ単に緑ではなくて、しっかりと野菜の味を感じる一品です。

発酵バターがついてきます。

フランス ランド産フォワグラコンフィのエスカロップ 冬に咲く白い花の香りをイメージして
自宅では絶対に食べられない一品。
フォワグラをフランスから取り寄せて、レストランで血抜きをして調理している非常にベーシックな料理ながら手間暇がかかっているとのこと。
この日一番感動した料理で、見た目も綺麗で、フォワグラこんなに美味しいのかと思いました。
周りの点々ははちみつ、シャンパンジュレ、周りの白いのはヘーゼルナッツオイルのパウダー。

パン(酒粕と徳島のお茶のパン)
フランス料理屋さんなのに、酒麹とか、お茶のパンとか和をかなり意識しています。

カサゴのポワレと加賀れんこんのクルスティアン フルーツトマトとパプリカのソースとともに
カサゴの皮はパリッパリに焼いてあって、同じくパリパリのれんこんは雪の結晶をイメージしているとか。周りは春菊のパウダー。美味しくて美しい魚料理です。

くまもと黒毛和牛プレミアム “和王” サーロインのグリエ
和牛の生産者に会いに行っているとか。
少なそうに見えてしっかりボリュームがあって、非常に美味しい赤みの肉料理です。

チーズワゴン
チーズワゴンはヌーベルエポックリニューアル時に廃止を議論した結果、残すことになったそう。
全品注文できます。
チーズの中身は日によって違うようです。

当然全品注文しました。
多いかな、とも思いつつ、美味しいのでペロリと食べられました。
バケットやレーズン、はちみつ、ジャムなどチーズのお供もつけてくれます。

青森県産紅玉林檎とカラメルのブランマンジェ
器が綺麗だなぁと思いました。
焼き物についても店員さんに話しかけると熱く語ってくれます。

マダガスカル産バニラのアイスクリームと軽やかに香るバラとタイベリーのヴァシュラン 赤い実のフルーツとともに
雪景色をイメージしたというデザート。
コース料理のタイトルにある「風冴える冬の空」とぴったりだと思って、表紙絵にも選びました。
料理としての美味しさとしては見ての通りの内容で普通なんですが(と言ってもちゃんと美味しいですよ)、とにかく美しいと。
お皿をしばらく眺めて楽しんでしまいました。

コーヒーと小菓子
昔のようなワゴンで選ぶスタイルではなく、このようにお皿で提供されるスタイルとなりました。
でも、これでもいいかな、この方がいいかなと思わなくもないです。
ワゴンだと食べすぎて記憶が小菓子しか残らなくなっちゃいますし・・。

ハーブティー選択の場合

コーヒー選択の場合

お祝いプレートを注文しました(サービスで付けてくれます)。
※メッセージは写真加工して消しています

さいごに
ホテルオークラという古い格式ある高級ホテルで最先端の和モダンでチャレンジングなグランメゾンということで、競合のよく比較される御三家と呼ばれるホテル(オータニ、帝国)には無い存在感を出してきているように思いました。
この内容は、流行りのシェフが個人がやっているフレンチレストランならもっと色々あると思いますが、ホテルでとなると、外資系ホテル含め都内にあるのか、私は知りませんし思いつきません。
そういう点で、オークラ自体がユニークな存在ですし、料理だけでなく、サービスの質を含めエポックはそれを代表するレストランだと感じました。
ちなみに、店員さんの知識レベルがすごく高いです。料理について質問をすると倍返しのように色々詳しく教えてくれ、勉強になります。
一休から予約が少しだけお得です

コメント